天気と飛行機、時々旅行

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北も南も竜巻…

ここ数日は、北は北海道、南は沖永良部島沖縄本島から、竜巻や漏斗雲のニュースが相次ぎましたね。

もちろん、北海道と南西諸島ではそこにある空気も違います。

北海道

北海道については、ここ数日は寒気を伴う気圧の谷が上空を何度も通過しました。その前面〜直下で、地上では南寄りの暖かくほんのり湿った風と北側から吹き出してくる冷たい空気がせめぎ合う形になり、積乱雲が発達 → 局地的な強い雨、雷、ひょう、竜巻が発生しました。

以下は新千歳空港のここ4日間のデータです。

1枚目:気温と、水蒸気量の推定値、2枚目:風向・風速

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気温や水分量が急落したり、風向きが南寄りから北寄りに変化するタイミングが複数ありますね。気象庁の天気図に書いてあるかは別として、これらが寒気の通過(南寄りの暖かい風との前線の通過でもある)だと思われます。

日没後に通過した場合は、他の日と比べて最低気温も低くなっています。23日や25日が目立ちますね。昨夜の最低気温はなんと6℃です。

南西諸島

大隅諸島以南は、停滞前線、ないしはその南側の暖かい空気単体で積乱雲が発達しました。前線自体は、南側の真夏の暖かく湿った空気と、北側のやや暖かくやや乾いた空気との境に出来ています。

那覇空港のデータを見てみましょう。沖縄本島はずっと前線の南側です。
(那覇空港からは、今日の12:30に水上で竜巻が目撃されたとの通報がありました)

同じく、1枚目:気温と、水蒸気量の推定値、2枚目:風向・風速

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気団が同じであるため、空気の質、風向共に、前線通過のような急変は見られません。島なので、元々日中と夜間の差は少ないのですが、それにしても変化幅が新千歳と大きく異なるのが分かると思います。

また、ベースの気温が高い上、北海道と比べると2〜3倍もの水分を含んでいます。この空気が局所的な収束や上空の影響を受けて雲が発生、たくさん含んでいた水蒸気を水として放出しつつ、温度があまり下がらないまま上へ上へ成長します。

今後

明日朝の天気図(出典:気象庁 | 天気図

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不穏な前線がありますね。

北日本は、一旦暖かい空気が入った後にまた寒気がやってきます。その前面の前線が通過する時に、強い雨、雷、ひょう、突風が発生するかもしれません。ここ最近より波長の長い(大きい)気圧の谷で、しっかりした前線構造を伴うため、広い範囲で影響が出そうです。

西日本〜東日本、南西諸島は、前線と、その上に発生した低気圧の影響を受けます。上空の寒気は北日本より弱い代わりに、南から湿った空気がしっかり入るので、こちらも広範囲で強い雨、雷、ひょう、突風に注意が必要です。

最新の情報を確認ください。以下は一般的な注意。

  • 天気が荒れてきたら、できるだけ外出は控える(天候が急変することも考えられます。突風が吹いた場合には、徒歩や自転車はもちろん、車でも強風にあおられたり、物が飛んでくることもあります。風雨による視程悪化、落雷、冠水道路による事故や、土砂崩れに巻き込まれる可能性もあります。)
  • 晴れていたり雨が弱くても川に近づかない。(山=川の上流で強く降ると急に増水する場合があるので、上流で降っていないかよく確認する)
  • 土砂崩れの兆候があれば早めに避難する。(山肌から水が噴き出す、小さな石が落ちてくる、音や振動がある、など)
  • 安全に外へ避難できそうにない場合、2階以上に避難する。(土砂に飲まれても1階よりはるかに生存率が高い)
  • 外に出る際は、冠水で溝やマンホールが隠れていないか良く気をつける。冠水道路に車で入らない。風が強い時は飛来物にも注意する。
  • 風や雲の様子が異常な時は突風のおそれもあるので建物の中心近くに避難する。気象庁の竜巻注意情報が出ていないかも確認。

気象庁の全般気象情報も見てみてください。

おまけ

確認できた竜巻・漏斗雲の通報。

  • 沖永良部(24日 16:03)
    RJKB 240703Z 32004KT 9999 FC FEW010 SCT015 BKNXXX 29/25 Q1011 RMK A2988 CB 7KM S
  • 那覇 (26日 12:30)
    ROAH 260330Z 30008KT 9999 FEW015 FEW020TCU SCT/// 31/26 Q1011 RMK 2CU015 1TCU020 A2986 WTSPT OBS AT 0318Z 18NM ON FNA RWY36 DH8C TCU S
  • 北海道は METAR では来ていませんが、20日〜25日にかけ、ひょう竜巻の観測あり。