北海道、東日本で雷雨 - 簡単に解析してみた
今日は北海道や東日本を中心に雷雨となった所がありました。以下は14時のレーダー画像。(出典:気象庁 | レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻))
塊で積乱雲が沸いている所があったので、ただ単に気温が上がっただけではないだろうと思い、大ざっぱに解析してみました。(本当に大ざっぱです)
日本付近の気象場
全体的にどういう場だったのか見てみます。
まずは高い所、500hPa(大体高度5,500mくらい)の状態から。午前9時の観測を基にした解析図。
北日本上空 5,500m には -12〜-14℃ 前後、関東付近にも -6℃ 以下の寒気が入ってきていました。雲は湿った空気が上昇して冷やされることによって発生します。冷たい空気は重いので、上空に寒気が入ってきている場合、何らかの原因で暖かい空気が上昇を始めるとより高い所まで上れる=雲が高く成長しやすくなります。
また、気圧の谷にもなっており、次の図のオレンジ部分は特に低気圧性の循環、要するに上昇気流が存在し、雲が発達しやすくなっている部分です。いわゆる「上空に寒気を伴った気圧の谷が…」というやつですね。
とりあえず、上空に寒気を伴った気圧の谷があり、雷雲が育ちやすい条件の1つは存在したことが分かりました。
次に地上の条件を考えてみます。まず、午前中は雲があるものの日差しのある所が多く、昼にかけてやや気温が上がっていました。ただし、30℃を大きく超えるような高温にはなっていません。というのも、天気図を見てみると…
南からの暖かく湿った真夏の空気は海上の前線で止まっており、陸地まで届いていないのです。北側からの空気では湿り気もそれほどではなく、単独で大規模な雷雲を作るには弱そうです。(奄美〜沖縄の雨雲は前線の影響で説明がつきそうですが)
それでも、地表の暖まった空気は上昇しようとするので、上からの重しを跳ねのけてある程度高い所までそれを運ぶきっかけがあれば、既にある上昇気流と寒気の力で雨雲が発生・発達する可能性があります。
(天気図出典:気象庁 | 天気図)
もう少し細かくみてみる
それでは、北海道や静岡・山梨〜関東南部付近で大きな雨雲の塊を作る、つまり地表のやや暖かくそこまで湿っていない空気をある程度の高さまで押し上げたものを探してみます。
先の天気図にはそれを説明するものが無さそうに見えますが、風の流れを追いかけてみると…
(気象庁 | 天気図を加工して作成)
前線の他にも、赤い点線の位置に風が集まっていそうです。集まった空気は下には行けないので、上に行こうとする=上昇気流になります。これにより空気は強制的にそこそこの高さまで持ち上げられるので、この風の収束を中心に雷雲が発達しやすくなります。
まとめ
これで大体説明がつきました。
- 上空には寒気が入ってきていた。
- 高い所では全体に上昇気流場だった。この1と2により、ある程度の高さまで暖かい上昇気流が到達すれば、さらに高く雲が成長しやすい状況だった。
- 地上は晴れて内陸を中心にやや気温が上がり、上昇気流が発生しやすくなっていた。(ただし極端に高温にはなっておらず湿り気もそこまででないので、単独で大規模な雷雲を作るだけの力はなし)
- 風が集まって上昇気流が発生しやすい所があった。
これらが重なった場所で、大規模に雷雲が発達したようです。
東北地方太平洋沿岸は収束がありながら雨雲は発達しませんでした。これは収束が弱かったことに加え、上の方でオレンジで示した上昇流域が南下して海上に移ってしまい、昼以降は 2 の条件から外れてしまったためだと思われます。例えば15時時点で、陸地では東〜西日本の南岸付近と北海道にのみこの上昇気流エリアがかかっていました。
あくまでも全て私の大ざっぱな推測ですけどね。