天気と飛行機、時々旅行

お天気や飛行機の話題、解説と、時々旅行その他について書きます。

前線とその南側で激しい雷雨

天気図にもある通り、日本付近には前線が横たわっています。

上空に西から寒気を伴う気圧の谷がやってきており、また、南から暖かく湿った空気が強く流入しているため、西日本を中心に激しい雷雨となっているところがあります。

湿った空気の経路は例えばこんな感じ。(天気図出典:気象庁 | 天気図を加工して作成)

f:id:airwx:20170907183627p:plain

海水温が高いところを長い距離吹いてくるため、暖かくとても湿っている=雨を降らせる力をモリモリ持っています。これが日本付近で北側から吹いてくる涼しい空気に出会って持ち上げられ、巨大な積乱雲に成長しているのです。暖かい空気は冷たい空気より軽いため、寒気があるとズドーンと高いところまで成長してしまいます。

前線の南側の暖気内でも、特に湿った部分の先端や特に流入が強い所の先端では、線状に積乱雲が発達する場合もあります。(下図の点線の位置)

f:id:airwx:20170907190634p:plain

暖気内の発達した降水がまばらではなく線状になっている場合は、このような構造になっている場合があります。今日も海上を中心にみられますね。

今日は前線が動いているので、雨は強くても何時間も降り続くことはないようです。ただ、前線または暖域内の収束があまり動かないか、線状に並んでいる方向にしか動かない場合には、同じ場所でずっと激しい雨が続いて大変なことになるので、レーダー画像などを見る場合には強さだけでなく動いている方向も見てみてください。

さて、どこかで天気が悪くなると呟く何か (@metbot_jp) | Twitter または どこかで天気が悪くなると呟く何か - mstdn.jp を見ていただいている方はご存知と思いますが、今日はゲリラ豪雨ではなく、上で触れたような構造をもった雷雲の塊なので、多くの空港から激しい雨や雷の通報がありました。

例えば広島空港の 18:33 のMETAR

RJOA 070933Z 31005KT 270V340 1400 R10/0800VP1800U +SHRA BCFG BR FEW000 SCT002 BKN003 22/22 Q1005 RMK 1ST000 4ST002 6ST003 A2970 FG ALL QUAD RI++

では、「+SHRA」が強い驟雨(対流雲からの降水)が降っていることを示しており、補足として末尾の「RI++」が瞬間強度で1時間あたり30mm以上の激しい雨であることを示しています。

また、雷については例えば高知空港の 18:36 の METAR

RJOK 070936Z 13005KT 2000 R32/1100VP1800U +TSRA BR FEW005 SCT015 BKN020CB 24/22 Q1004 RMK 1ST005 3CU015 5CB020 A2965 HVY TS OHD MOV E RI++

では、「+TSRA」が強い雷雨となっており、「HVY TS OHD MOV E」で激しい雷が空港直上にあって、東に動いていることを報じています。(RI++ もありますね)

定量的なデータとしてはアメダス等を見たほうがいいのでしょうが、雲の種類や量とか、こういう目視観測が含まれているので、METAR は面白いんですよね。

今日は本当に多数の RI++ と MOD TS または HVY TS が来ました。HVY TS の真下にいると、雷は光ると同時に落ちてくるので心の準備はできず、近くに落ちるので音も大きいし、電化製品は壊れるし被雷した建物や木も壊れるしと、本当に身の危険を感じます。

こういう天気であれば自然と屋内に退避することになると思いますが、できれば降り出す前に避難しておきたいところですね。

 

今後注意すべきこと

まだ降っているところ、これから降るところもありますので、定型文的な注意点を。

 

まずは屋内に避難。避難した後も常に外の様子をうかがい、発達した積乱雲による激しい現象の兆候がないか確認、兆候があれば非常用品の確認・確保と、より安全な場所への避難を行うと安心です。最新情報は常に入手。電池式のラジオがあると停電時も情報を得られます。

発達した積乱雲に伴って発生しうる現象は例えば以下のようなもの。

大雨

急に強まったり、局地的に降り続くことがあります。

  • 急な増水に備え川に近づかない。
  • 地盤の緩い山に近づかない。
  • もし自宅が危険ならできるだけ早く避難する。
  • 移動する際は前方が冠水していないか、水で溝やマンホール、水路などが隠されていないかよくよく注意する。

雷・ひょう

このあたりは一般的な注意。釣り竿や傘をしまう。屋外、特に平地や高いもののそばに留まらず、安全な場所に避難する。

突風などの激しい現象

雲の動きが不規則になったり、昼間であれば以上に空が暗くなったりなど、異常を感じたらできるだけ頑丈な建物に避難。頑丈な建物に逃げられない場合でも、窓や外壁から遠い家の中心付近に居るようにしましょう。

その他

鉄道や航空にも影響が出るので、あらかじめ遅れや引き返し、結構を見越した対応を考えておくと、常に早く最善の行動がとれます。

自分で運転していて、雨により急に視程が悪化するような事も考えられます。急ブレーキは避け、安全に路肩に止めるなど、慌てず状況に合わせた行動をとってください。

また、雨の後に気温が低下すると、場所によっては霧が出やすくなります。こちらも移動や交通への影響が出ますので、注意しましょう。